日本には、ゲームセンターが何店舗あるのでしょうか。
警察庁の最新統計では、2025年末の「ゲームセンター等営業」の許可数は4,184件です。
ところが、日本アミューズメント産業協会(JAIA)の公開データを見ると、2024年度の店舗数は1万4,407店と記載されています。
約4,200店と約1万4,400店。
同じ日本のゲームセンターを数えているように見えるのに、数字には3倍以上の開きがあります。
結論から言うと、どちらかが単純に間違っているわけではありません。
警察庁とJAIAでは、「ゲームセンターとして何を数えるか」が違います。
この記事の結論
- 警察庁の4,184件は、風営法上の許可を受けた営業所数
- JAIAの1万4,407店は、会員企業の店舗と会員外企業の推計を合算した店舗数
- ゲーム機が置かれたすべての場所が、警察庁の許可営業所に含まれるわけではない
- 対象年度、定義、推計方法が違うため、数字をそのまま比較してはいけない
警察庁は4184件、JAIAは1万4407店
まず、二つの数字を整理します。
| 資料 | 公表されている数 | 何を数えた数字か |
|---|---|---|
| 警察庁 | 4,184件 | 2025年末のゲームセンター等営業の許可数 |
| JAIA | 1万4,407店 | 2024年度の推計を含む店舗数 |
この二つは、対象年度も集計方法も同じではありません。
警察庁の数字は、都道府県公安委員会から風営法上の許可を受けた営業所を集計したものです。
JAIAの数字は、協会に加盟する企業の店舗数だけではありません。JAIAは、会員企業の店舗数に、会員外企業の店舗数の推計を加えて算出していると説明しています。
そのため、JAIAの数字の方が大きくなります。
警察庁が数える「ゲームセンター等営業」とは
警察庁の統計に掲載されているのは、風営法第2条第1項第5号に該当する営業です。
法律では、スロットマシン、テレビゲーム機、そのほか射幸心をそそるおそれのある遊技に使用できる設備を設置し、客に遊技させる営業を対象としています。
一般的なゲームセンターだけでなく、一定の条件に該当するゲームコーナーやゲーム喫茶なども対象になります。
ここで使われる「風俗営業」は、性的なサービスを意味する言葉ではありません。
接待飲食店、ぱちんこ店、麻雀店、ゲームセンターなど、風営法によって営業時間や設備などが規制される営業をまとめた法律上の分類です。
2025年末の許可営業所は4184件
警察庁によると、ゲームセンター等営業の許可数は次のように推移しています。
| 年末 | 許可営業所数 | 専業店 | 併設店 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 3,882件 | 2,328件 | 1,554件 |
| 2022年 | 3,894件 | 2,342件 | 1,552件 |
| 2023年 | 3,915件 | 2,321件 | 1,594件 |
| 2024年 | 4,007件 | 2,393件 | 1,614件 |
| 2025年 | 4,184件 | 2,511件 | 1,673件 |
警察庁は、ゲームセンター等営業を「専業店」と「併設店」に分けています。
専業店は、主にゲームセンターとして営業する店舗です。
併設店は、ほかの営業や施設と組み合わされた形態を指します。
2021年末から2025年末までに、専業店は183件、併設店は119件増えています。
警察庁の許可統計だけを見れば、直近では両方とも増加しています。
ゲーム機が置いてあれば必ず許可営業所になるわけではない
警察庁の4,184件は、日本国内でゲーム機が置かれている場所をすべて数えた数字ではありません。
たとえば、レストラン、小売店、ホテル、旅館、ショッピングセンターなどの一角に、ゲーム機が数台だけ設置されている場合があります。
警察庁の解釈運用基準では、店舗の1フロアで客が利用する部分の床面積に対し、ゲームに使用する部分が占める割合が10%を超えない場合、一定の条件の下で風俗営業の許可を要しない扱いとしています。
ゲーム機が直接占める面積だけでなく、客がゲームを操作するために使用する空間も含めて計算します。
そのため、次のような場所は、ゲーム機を置いていても警察庁の許可営業所数に含まれない可能性があります。
- 商業施設の小さなゲームコーナー
- ホテルや旅館の一角にあるゲームコーナー
- 飲食店や小売店に数台だけ置かれたゲーム機
- コンビニなどに少数設置されたクレーンゲーム
- 規制対象外となる種類の遊技設備だけを置く施設
したがって、警察庁の数字は「ゲームで遊べる場所の総数」ではありません。
風営法上の許可を受けて営業するゲームセンター等の数です。
注意
いわゆる「10%ルール」は、設置する機械の種類、店舗の構造、独立性、使用面積などによって判断が変わります。単にゲーム機が少なければ必ず許可不要になる、という意味ではありません。
JAIAの店舗数には推計が含まれている
JAIAは、ゲームセンター業界の売上高、設置台数、クレーンゲーム売上、店舗数などを公表しています。
JAIAの説明によると、店舗数は次の二つを合計して算出しています。
- JAIA会員企業が運営する店舗数
- 会員外企業が運営していると推計される店舗数
つまり、JAIAの1万4,407店は、協会が直接把握した店舗だけを数えた数字ではありません。
業界全体の規模を推定するため、会員外企業の店舗数を加えた推計値です。
また、JAIAが扱う「アミューズメント施設」は、昔ながらの独立したゲームセンターだけとは限りません。
ショッピングセンター、ボウリング場、カラオケ施設、ホテル、スーパーなどに併設された施設も調査対象になり得ます。
この範囲の広さが、警察庁の許可数との差につながっています。
JAIAの2024年度店舗数が急増している点には注意が必要
JAIAの公開表では、店舗数は次のように記載されています。
| 年度 | 店舗数 |
|---|---|
| 2020年度 | 9,998店 |
| 2021年度 | 1万61店 |
| 2022年度 | 8,500店 |
| 2023年度 | 8,548店 |
| 2024年度 | 1万4,407店 |
2023年度の8,548店から、2024年度は1万4,407店へ増えています。
差は5,859店です。
ただし、この数字だけを見て「1年間でゲームセンターが約5,900店増えた」と結論づけることはできません。
JAIAの店舗数には会員外企業の推計が含まれています。推計対象、調査方法、回答企業数などが変われば、実際の新規出店数とは別に、推計値が大きく変わる可能性があります。
JAIAの公開ページには、2024年度に店舗数が大幅に増えた詳しい理由までは記載されていません。
したがって、2023年度と2024年度の数字を単純に差し引き、実店舗の増加数として扱うのは危険です。
「5号営業許可営業店」の数字にも確認が必要
JAIAの公開表には、店舗数とは別に「5号営業許可営業店」という項目があります。
2024年度の数字は4,007店で、警察庁が公表した2024年末の許可営業所数4,007件と一致しています。
一方、JAIAの2023年度欄は4,251店ですが、警察庁の2023年末の許可営業所数は3,915件です。
JAIAの注釈には「5号営業許可店は会員企業の店舗数」と書かれていますが、2023年度の4,251店は警察庁の全国許可数3,915件を上回っています。
公開ページだけでは、次のどれに該当するのか確認できません。
- 集計した時点が異なる
- 年度と暦年の違いが影響している
- 数字の定義が途中で変更された
- 公開表または注釈に誤記がある
このため、「5号営業許可営業店」の行も、全年度を同じ条件で集計した連続データとして使用する際には注意が必要です。
数字が公表されているからといって、定義を確認せずグラフにするべきではありません。
日本のゲームセンターは結局何店舗なのか
答えは、「ゲームセンターをどう定義するか」で変わります。
風営法上の許可営業所を知りたい場合
2025年末時点で4,184件です。
これは警察庁が公表する、ゲームセンター等営業の許可数です。
ゲーム機を設置するアミューズメント施設を広く把握したい場合
JAIAの2024年度推計では、1万4,407店です。
ただし、会員外企業の推計が含まれ、警察庁とは対象範囲が異なります。
街で一般客が利用できるゲームコーナーをすべて数えたい場合
警察庁とJAIAのどちらの数字だけでも、正確な総数を断定することは困難です。
風営法の許可を必要としない小規模設置場所や、推計に含まれていない施設が存在する可能性があるためです。
数字の使い分け
- 約4,200件:風営法上の許可を受けたゲームセンター等営業
- 約1万4,400店:JAIAが推計する広い意味でのアミューズメント店舗
- 正確な全国総数:「何をゲームセンターに含めるか」を決めなければ算出できない
「ゲームセンターが減った」という話にも定義が必要
前回の記事では、ゲームセンターが長期的に大きく減った一方、警察庁の許可営業所数は直近で増加していることを取り上げました。
今回確認したように、「店舗数」と「許可営業所数」は同じ数字ではありません。
そのため、ゲームセンターが減った、増えたと論じるときは、少なくとも次の条件をそろえる必要があります。
- 同じ調査機関の数字を使用する
- 集計対象が同じ年度を比較する
- 許可営業所なのか、推計店舗数なのかを明記する
- 調査方法や推計方法が変更されていないか確認する
異なる統計から都合のよい数字だけを取り出すと、実態とは違う結論になります。
ゲームセンターの数は一つではない
日本のゲームセンター数を調べると、約4,200件と約1万4,400店という二つの数字が見つかります。
しかし、この差は単なる統計の間違いではありません。
警察庁は風営法上の許可営業所を数え、JAIAは会員外企業の推計も含めたアミューズメント施設を数えています。
さらに、小規模なゲームコーナーなど、一定の条件で風俗営業の許可を要しない場所も存在します。
したがって、日本のゲームセンターが何店舗あるかを答えるには、最初に「どこまでをゲームセンターと呼ぶのか」を決めなければなりません。
数字が違うのではなく、数えている店が違う。
これが、警察庁とJAIAの統計に3倍以上の差がある理由です。
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次回:なぜゲームセンターはクレーンゲームだらけになったのか
次回は、ゲームセンターの売上構造を調べます。
JAIAの2024年度データでは、クレーンゲームなどのプライズゲーム売上は、ゲームセンター全体の68%を占めています。
なぜビデオゲームやメダルゲームではなく、クレーンゲームが現在のゲームセンターの主役になったのか。
売上高、設置台数、客層、景品ビジネスの変化から整理します。
参考資料
- 警察庁「令和7年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について」
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
- 警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」
- 日本アミューズメント産業協会「メディアのみなさまへ」
データ提供:一般社団法人日本アミューズメント産業協会。統計数値は2026年6月確認。警察庁とJAIAでは対象年度、集計対象、推計方法が異なります。



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