岩谷徹の『パックマン』はなぜゴーストを4色にしたのか【ゲームクリエイター列伝】

青い迷路で、赤・ピンク・水色・オレンジのゴーストが別々の通路からパックマンに近づくイラスト ゲームクリエイター列伝

後ろから赤いゴーストが迫っている。曲がって振り切ろうとしたら、行きたい方向にピンクのゴーストがいる。『パックマン』の迷路で怖いのは、敵の数より、同じ逃げ方が相手によって通じないことだ。岩谷徹らが色と動きで分けた4匹は、画面をにぎやかにする以上の仕事をしている。

赤は追う。ピンクは先回りする

パックマン公式サイトでは、赤いブリンキーはパックマンを追い、ピンクのピンキーは先回りして待ち伏せると紹介されている。水色のインキーは追ったり逃げたりする気まぐれな存在で、オレンジのクライドは迷路を自由に動き回る。

追っ手が全員同じ方向から来るなら、プレイヤーは背後だけを気にすればいい。ところが、先回りする敵がいると、目の前の曲がり角も気になる。色を見れば、いま避けたいのがどの相手なのか一瞬で判断できる。プレイヤーはゴーストの紹介文を読まなくても、何度か捕まるうちに、敵ごとの癖を覚えていける。

パワークッキーで、同じ迷路の意味が変わる

パワークッキーを食べると形勢が逆転し、パックマンがゴーストを追う側に回る。さっきまで避けていた通路が、今度はゴーストを追うための近道になる。迷路そのものを変えなくても、追う側と逃げる側が入れ替わるだけで、同じ地形から別の判断が生まれる。

岩谷徹の企画を、チームが一つの遊びにした

公式年表によると、1980年5月にテストが行われ、日本では同年7月に一般公開された。企画は岩谷徹、サウンドは甲斐敏夫、プログラムは舟木茂雄。色で敵を見分け、動きで違いを覚え、逆転した瞬間に追いかけたくなる。その一連の体験を形にしたのは、企画、音、プログラムがそろった仕事だった。

いま遊び直すなら、スコアを追う前に、赤とピンクが交差点へどう入ってくるかを見てほしい。同じ一枚の迷路で、逃げ道を選ぶ基準が変わる。4色の意味は、そこにいちばんよく表れている。

参考資料

パックマン公式サイト|キャラクター・パックマン公式サイト|ヒストリー

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