赤い帽子、大きな鼻、青いオーバーオール、そして立派な口ひげ。
世界中で知られているゲームキャラクター、マリオの顔です。
ところで、マリオはなぜひげを生やしているのでしょうか。
配管工だからでしょうか。それとも、外国人らしさを出すためでしょうか。
実は、どちらでもありません。
マリオのひげは、昔のゲーム機が使えるドット数の少なさから生まれました。
口ひげを描けば、口を細かく描かなくても人間の顔に見せられたのです。
結論:マリオのひげは口を描かないためだった
マリオを生み出した任天堂の宮本茂さんは、任天堂公式インタビューの中で、マリオのデザインについて説明しています。
初代マリオは、わずか16×16ドットで描かれていました。
ドットとは、昔のゲーム画面を作っている小さな四角形のことです。
現在のゲームなら、キャラクターの目、鼻、口、髪の毛、服のしわまで細かく描けます。
しかし、初代マリオの時代は違いました。
使えるドットが非常に少なかったため、目、鼻、口をすべて描こうとすると、顔だけで多くのドットを使ってしまいます。
そこで考えられたのが、鼻の下にひげを描く方法でした。
- 大きな鼻を描く
- 鼻の下に黒いひげを置く
- 口は細かく描かない
これだけで、人間らしい顔に見せることができます。
つまり、マリオの口ひげは、おしゃれや設定から生まれたものではありません。
限られたドットで顔を成立させるための、省スペース設計だったのです。
初代マリオは16×16ドットだった
現在のマリオは、表情まで細かく変化します。
笑った顔、驚いた顔、悔しそうな顔などもはっきり分かります。
しかし、1981年に登場した初代マリオは、16×16ドットという小さな画像でした。
単純に計算すると、縦16個、横16個の小さなマスの中に、頭から足までを収めなければなりません。
しかも、そのすべてを自由に使えるわけではありません。
- 頭
- 顔
- 胴体
- 腕
- 足
- 服
これらを、少ないドットだけで人間らしく見せる必要がありました。
リアルな体形を描こうとすると、顔に使えるドットはわずかしか残りません。
それでは目や口を区別できず、人間ではなく棒人間のように見えてしまいます。
そこで宮本さんは、頭を大きくした、現在にもつながるマリオの体形を作りました。
顔を大きくすれば、目や鼻を少ないドットでも見せやすくなります。
そして、口の代わりになる太いひげを置くことで、マリオの顔が完成しました。
マリオのひげは配管工だから生まれたわけではない
マリオといえば、配管工というイメージがあります。
そのため、ひげも配管工らしい外見として付けられたと思われがちです。
しかし、マリオが初めて登場した『ドンキーコング』の舞台は、建設中のビルでした。
この時代のマリオは、配管工というより、建設現場で働く人物として考えられていました。
その後、1983年の『マリオブラザーズ』では、土管から出てくる敵を倒すゲームになりました。
こうして、マリオには配管工のイメージが付いていきます。
つまり、順番は次のとおりです。
- 少ないドットで顔を描くためにひげが付いた
- 建設現場に合う服装としてオーバーオールを着た
- 後のゲームで土管が登場し、配管工の設定が定着した
配管工だからひげを生やしたのではなく、ひげを生やしたキャラクターが後から配管工になったのです。
帽子も髪の毛を描かないためだった
マリオの赤い帽子にも、ドット数を節約する役割がありました。
髪の毛を描こうとすると、髪形や生え際を表現しなければなりません。
さらに、キャラクターが走ったりジャンプしたりすると、髪の毛の動きも描く必要があります。
しかし、帽子をかぶせれば、髪の毛の大部分を描かなくても不自然には見えません。
帽子の下に目を置くだけで、頭と顔の境目も分かりやすくなります。
現在ではマリオの象徴になっている帽子も、もともとは、
少ないドットで頭を分かりやすく描く
という実用的な理由から生まれたのです。
オーバーオールは腕の動きを見せるためだった
マリオがオーバーオールを着ていることにも理由があります。
ゲームの中でマリオを走らせるためには、腕を前後に振る動きを見せなければなりません。
ところが、腕と胴体が同じ色では、腕が動いているのか分かりにくくなります。
そこで、腕の服と胴体部分の色を分けられるオーバーオールが採用されました。
オーバーオールなら、シャツの色と胴体の色を変えられます。
少ないドットでも、腕が体の前にあるのか、後ろにあるのかを見分けやすくなるのです。
さらに『ドンキーコング』の舞台は建設現場だったため、作業着であるオーバーオールともよく合いました。
見た目とゲーム上の機能が、きれいに一致したデザインだったのです。
白い手袋にも動きを見やすくする役割があった
マリオは白い手袋も着けています。
これも、少ないドットで手の位置を分かりやすくするための工夫でした。
腕を振ったり、ジャンプしたりしたとき、手が服や背景と同じ色では動きが見えにくくなります。
手を白くすれば、暗い背景や色の付いた服の上でも目立ちます。
マリオの有名なデザインは、次のように作られていました。
- ひげ:口を描かなくても顔に見せる
- 帽子:髪の毛を描く手間を減らす
- オーバーオール:腕と胴体の動きを区別する
- 白い手袋:手の位置を見やすくする
- 大きな鼻:少ないドットでも顔の向きを伝える
どれも、単なる飾りではありません。
ゲーム画面でキャラクターの動きを伝えるために必要なデザインだったのです。
ゲーム機の弱点がマリオらしさを作った
現在のゲーム機なら、ひげがなくても人間らしい顔を簡単に描けます。
髪の毛の一本一本や、口の動きまで表現できます。
それでも、マリオからひげや帽子がなくなることはありませんでした。
もともとはゲーム機の性能不足を補うための工夫でしたが、長く使われるうちに、マリオを見分けるための重要な特徴になったからです。
もし最初から高性能なゲーム機があり、リアルな顔を描けていたら、現在とはまったく違うマリオになっていた可能性があります。
しかし、使えるドットが少なかったからこそ、
- 大きな鼻
- 太い口ひげ
- 赤い帽子
- オーバーオール
- 白い手袋
という、一目で誰なのか分かるデザインが生まれました。
できないことが多かったから、強いキャラクターが生まれた。
マリオのデザインは、ゲーム開発における制約が、必ずしも悪いものではないことを教えてくれます。
最初から「マリオ」という名前ではなかった
マリオが初めて登場したのは、1981年のアーケードゲーム『ドンキーコング』です。
当時、このキャラクターはゲーム内でジャンプして障害物を避けることから、一般に「ジャンプマン」と呼ばれていました。
宮本さん自身は、さまざまなゲームに登場させるキャラクターとして「ミスター・ビデオ」という名前も考えていたと語っています。
その後、Nintendo of Americaの関係者によって「マリオ」という名前が付けられました。
もし「ミスター・ビデオ」のままだったら、現在ほど親しみやすいキャラクターになっていたかは分かりません。
ひげだけでなく、名前も偶然と実用性の積み重ねによって定着していったのです。
友達に話せるゲーム雑学
今回の記事を友達に説明するなら、これだけ覚えておけば十分です。
マリオのひげは、配管工らしさを出すためではない。
昔のゲーム機では使えるドットが少なく、ひげを描けば口を省略しても人間の顔に見せられたために付けられた。
さらに詳しく話すなら、帽子は髪の毛を省略するため、オーバーオールと白い手袋は腕や手の動きを分かりやすくするためだった、と付け加えられます。
まとめ:マリオのひげはドット不足から生まれた
マリオがひげを生やしている最大の理由は、初代ゲーム機の画面で、人間らしい顔を少ないドットで表現するためでした。
- 初代マリオは16×16ドットだった
- ひげを描けば口を細かく描かなくてもよかった
- 帽子は髪の毛を省略するために使われた
- オーバーオールは腕の動きを見せやすくした
- 白い手袋は手の位置を目立たせた
現在では世界的なキャラクターとなったマリオですが、その姿は最初から格好よさやかわいさだけを考えて作られたわけではありません。
限られた性能の中で、どうすれば人間に見えるのか。
どうすれば走ったりジャンプしたりする動きが伝わるのか。
その問題を一つずつ解決した結果、世界中の人が一目で分かるマリオの姿が完成したのです。



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